電気工事士は、電気にまつわる工事ができる国家資格です。
国から認められたれっきとした仕事なのに「やめたほうがいい」といった声を聞くのも事実です。
なぜ、電気工事士をやめた方がいいと言われるのでしょうか。
これから電気工事士として活躍したいと考えている人にとってはあまりうれしい情報ではありません。
本記事では、電気工事士をやめた方がいい理由を5つご紹介し、同時に電気工事士のメリットややめた方がいい理由の克服方法についても解説します。
電気工事士の資格を取ろうか迷っている方や、電気工事士になることそのものに不安を感じている方は参考にしてください。
電気工事士がやめとけと言われる理由について
「電気工事士はやめとけ」と言われる代表的な理由は、次の5つです。
- 肉体労働
- 繁忙期が激務
- 休みが不定休
- 下積み期間が長い
- 人間関係
それぞれ具体的な理由を解説します。
肉体労働
電気工事士の主な業務は、電気設備に関する機器の設置やメンテナンスです。
屋外での作業も多く、基本的に肉体労働で次のような作業を行います。
- 重い資材の運搬
- 高所での作業
- 座れない
- 炎天下や真冬での屋外作業
- ケガの可能性
過酷な状況下での作業が多いのが、電気工事士の仕事の辛いところです。
肉体労働であるため、年齢が上がれば収入が上がっていく会社員と違い、体力の低下に伴ってできる仕事に違いが出てきます。
できる作業量の限界も変わってくるため、長く活躍するのが難しいことを考えると、やめとけと言う意見もうなずけるでしょう。
繁忙期が激務
電気工事士の仕事はおもに建設現場での作業が多く、仕事の繁忙期も建設業界と重なります。
一般的には、年末と年度末が建築業界の繁忙期ですが、工事が立て込んでいる時期は休む暇もありません。
それに加え、エアコンの設置やメンテナンスの繁忙期が夏前の5月~7月ごろとなります。
暑いさなかに膨大な作業をこなさなければいけないため、体力的にキツいのも事実です。
「しんどいからやめとけ」と言われるのも当然でしょう。
休みが不定休
電気工事士の休みは建築スケジュールやお客様の都合で決まる部分が多く、決まった休みや自由な休みがない仕事といえます。
建築業界全般に当てはまるかもしれませんが、天候やクライアントの都合に左右されやすく、自分の自由に休みが取れません。
友人や家族の休日とあわせて取るのが難しく、プライベートを充実させたいのであれば、電気工事士の仕事は「やめとけ」となってしまうのです。
下積み期間が長い
電気工事士の資格は国家資格であり、第一種取得のためには「3年以上の実務経験」が必要です。
また、試験は実技だけでなく筆記試験もあるため、机上の勉強も必要となります。
仕事と並行しての試験勉強はかなり大変となるため、本人の努力に加え周囲のサポートも重要です。
実際、実務に関しても現場でさまざまなケースを経験し、ひと通り対応できるようになるまでには2~3年が必要と言われています。
「数ヶ月で一人前になれる」「資格が取れる」といった甘いものではないため、下積みに耐える覚悟がないなら「やめとけ」と言われるのも当然です。
人間関係
建設業界に共通して言えることですが、電気工事士の仕事は職人に近く、先輩職人との上下関係がキツイ職場も少なくありません。
下積み時代は特に、上下関係を中心とした人間関係が煩わしいと感じることもあるでしょう。
教わる先輩との年齢が離れていれば、気を遣う度合いも頻度も高くなります。
どのような業界でも同じですが、分からないことがあれば自分から積極的に動いて先輩に質問するなど、一目置かれる存在になる努力も必要です。
一連のコミュニケーションや気を遣うことに対して面倒だと感じるのであれば、電気工事士の仕事は「やめとけ」となるのかもしれません。
電気工事士のメリット
電気工事士が「やめとけ」といわれる理由をご紹介しましたが、当然メリットもあります。それが次の4つです。
- 仕事の幅が広がる
- 社会的信用
- 転職に有利
- 独立しやすい
それぞれどのようなメリットなのか、詳しく見てみましょう。
仕事の幅が広がる
電気工事士の資格があれば、電気に関わるさまざまな工事を請け負えます。
電気工事士の仕事は、個人住宅の照明器具の設置から大きなビルの電気配線の設計や施工管理までさまざまです。
第一種電気工事士の資格を持っていれば、空港や工場などの大規模設備にかかわる電気工事のような大きな仕事にも関われます。
取得が難しい資格ではあるものの、取っておいて損はない資格と言えるでしょう。
社会的信用
電気工事士は国家資格で、一定期間の実務経験も必要な難関資格です。
言い換えれば、電気工事士が請け負える仕事は資格保有者しか仕事に従事できない業務独占資格でもあります。
さらに電気を多く使用する現代社会では欠かせない仕事でもあります。
将来的にも需要が高まると予想されるため、時代を問わず求められる仕事であることは間違いありません。
転職に有利
私たちの暮らしに電気がある限り、電気工事士の仕事はなくなりません。
国土交通省が出した統計によると、平成4年をピークに建設業界の人材は減少し続けています。
業界全体でも人材不足が叫ばれていますが、国家資格保持者である電気工事士は転職でも有利に働きます。
求人ボックスで電気工事士の求人で計算したところ、有資格者の平均給与は30万円でした。
見習いや初心者は20万前後ですが、第一種資格保持者で施工管理もできる場合は40~50万円で募集されています。資格と経験がある電気工事士は年収が高い会社への転職でも有利であると言えるでしょう。
独立しやすい
電気工事士の仕事は、資格保有者にしか請け負えないもので独占市場です。
仕事をうまく受注できれば、一人親方として独立しても十分やっていける可能性が高いでしょう。
近年、建築業界の人手不足が顕著になっているため、電気工事を担える有資格者の重要性は増しています。
将来的にも資格とスキルがあれば仕事に困ることはなさそうです。
電気工事士の仕事が向いている人
電気工事士のメリットとデメリットを解説しましたが、電気工事士として成功するには向き・不向きも重要です。電気工事士の仕事が向いている人とは、どんな人なのでしょうか。
その特徴を4つ紹介します。
- 器用な人
- 学ぶことが好きな人
- 体を動かすのが好きな人
- コツコツ努力できる人
自分はどうなのか、客観的に照らし合わせながら見ていきましょう。
器用な人
電気工事士は、電気の回路や配線など細かい作業が多い仕事でもあります。
また、ものづくりや工作が好きで、器械や道具を使いこなす器用さが求められます。
そのうえで純粋に機械いじりや電気配線をいじること自体が面白いと思える人が、電気工事士として向いているでしょう。
逆に不器用で機械もそれほど得意ではない人は向いていないかもしれません。
学ぶことが好きな人
新しい設備やシステムが開発されるたびに、今までの知識が役に立たなくなる場合も十分あり得ます。
新しい配線やメンテナンスに対応するためには、継続的な学びが必要といえます。
それを面倒だと思わない、かえってワクワクする人の方が、電気工事士に向いているでしょう。
電気工事の業界に限った話ではありませんが、日進月歩で進化する技術や研究に意欲的に向き合える姿勢が重要です。
体を動かすのが好きな人
電気工事士には、頭脳労働と同時に肉体労働の側面があります。
重い資材を運ぶ、暑さ寒さに耐えながら作業するなど体力も必要です。
体育会系的な雰囲気の職場であれば、下積み時代は率先して動くなどの素早い行動も重要でしょう。
このように、じっとデスクワークしているよりも体を動かしながら仕事する方が好きな人が電気工事士に向いています。
運動が苦手な人や力仕事はやりたくないという人にとっては、魅力を感じない仕事かもしれません。
コツコツ努力できる人
継続的に新しい知識を学びつつ、現場では正確で丁寧な仕事をできる、
真面目でコツコツと努力できる人が電気工事士に向いています。
また、自分の体調管理も重要です。
工事スケジュールを乱す可能性があるため、急な体調不良で休むわけにもいきません。
勉強や体調管理など、地味な毎日の積み重ねを嫌がらず、努力し続けられるような人は向いているでしょう。
電気工事士の仕事のデメリットの解決策
電気工事士に興味があるがデメリット部分が気になる人も少なくありません。
インターネット上で「やめとけ」というフレーズを見かけたらそう思ってしまうのも無理はないでしょう。
しかし、デメリットに対して解決方法がないわけではありません。主な解決策は次の通りです。
- 1人前になる
- 体力をつける
- 条件の合う企業に転職
詳しく見てみましょう。
1人前になる
職人気質が色濃く残る建設業界では、先輩に気に入られると居心地は良くなります。
また一人前の仕事ができるようになれば、人手不足な業界だけに切れ目なく声がかかるようになるでしょう。
スキルがあれば、収入面でも良い条件の仕事を選べるようになります。
そのためには継続的な勉強を欠かさず、一日でも早く一人前と認めてもらえるような努力が必要です。
体力をつける
肉体労働の側面もある電気工事士ですが、体力や筋力をつければ同じ作業でも負担感は違います。
繁忙期にしっかり働くためにも、体作りは重要です。
仕事に慣れるにつれ自然に体力もつくかもしれませんが、筋トレをする・健康を意識した生活を送るなど、自己努力によって体力的なデメリットを克服できます。
条件の合う企業に転職
もし収入面や待遇面で不満がある場合は、条件の合う企業に転職しましょう。
電気工事士の資格を持っていれば、資格手当がつくケースもあります。
資格と現場経験がある電気工事士であれば、さらにニーズは高くなるでしょう。
大手企業になるほど給料は高くなる傾向があるため、条件の合う求人がないか定期的にチェックしておくようにしてください。
施行管理や現場管理などのスキルを高めていけば、高報酬での転職も可能です。
電気工事士の資格を活かしたおすすめの仕事
電気工事士の資格を活かした仕事はさまざまありますが、特におすすめの仕事が次の4つです。
- 電気配線工事
- ビルメンテナンス
- エアコン取付
- サービスエンジニア
どのような仕事でなぜおすすめなのか、順番に解説します。
電気配線工事
電気配線工事とは、あらゆる建物の電気設備の設計や施行を行う仕事です。
大型設備の配線から個人住宅のコンセントや照明器具の取り付けまで、電気にまつわるあらゆる作業に対応します。
新しい建物を建築する際は、建物内の電気配線の設計や施工・配電盤や各種電気設備の設置作業を行います。
リフォームの場合は新たな配線や電気設備の追加など、多種多様な工事に関わることになるでしょう。
第一種電気工事士になると、戸建てから空港や工場などの大規模施設まで作業現場は多岐にわたります。
その中でも屋内工事の場合は、雨風にさらされることなく、落下の危険性も少ないためおすすめです。
ビルメンテナンス
ビルメンテナンスは、電気設備の点検を中心とした仕事です。年齢を重ねてもできるため、人気が高い職種です。
電気通信設備、空調設備以外にも給排水設備や消防用設備・エレベーターなどに不備がないか定期的に点検を行ったりメンテナンスをしたりします。
簡単な修理であれば、その場で対応し、大規模な補修が必要な場合は業者を手配することもあります。
消防や水回りに関しては、電気工事士の知識だけでは対応できないため、次のような資格も
取っておくといいでしょう。
- 2級ボイラー技士
- 危険物取扱者乙種4類
- 第三種冷凍機械責任者
ただし、雇用先によっては勤務時間が夜中の場合もあります。
エアコン取付
エアコン取り付けの仕事も、電気工事士が活躍できる仕事のひとつです。
エアコン本体や室内機を持ち上げるには多少腕力が必要ですが、室内の作業が中心で2~3時間で完了します。
繁忙期には、まとまった休みがないほど仕事が受注できるのも特徴です。
電気工事を会社で行ってきた経験がフルに生かせる仕事でもあるため、エアコン取り付けで独立開業する電気工事士も少なくありません。
サービスエンジニア
サービスエンジニアは、機械製品などの保守やメンテナンスを行う仕事です。故障発生時は現場(顧客先)に訪問し、製品の点検や修理対応をします。
対象となる機械製品は、家電・医療機器・セキュリティ機器などさまざまです。
技術者として家電メーカーに勤めるのであれば、第二種電気工事士の資格があると有利です。
クレーム対応的な側面がありますが、メーカー勤務であれば休日や勤務時間が決まっているため、技術者一本で働ける職業といえます。
電気工事士の仕事はメリットの方が多い
電気工事士は下積み期間が長く、体力的にキツいだけではなく、繁忙期は激務なうえ現場の人間関係に気を遣う仕事です。
「やめたほうがいい」といわれる反面、国家資格なため業務独占性があり転職時にも有利。社会的信用もあり、工夫次第では独立開業も可能です。
電気工事士としてステップアップするには、継続的な勉強や経験値をコツコツ積むなどの努力が必要ですが、将来的な安定性が見込めます。
まとめ
電気工事士には「やめとけ」と言われる要素があるのが現実です。
しかし、電気工事士の資格は国家資格であり、取得すれば一生ものの財産となるでしょう。
電気工事士として独立するもよし、転職して収入を増やすもよしと、さまざまな場面で活躍でき、求められる仕事であると言えます。
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