エアコンの取り付けは、配線などの取り付けが必要です。
そのため、エアコンを自体を購入しても、正しく取り付けられない人がほとんどでしょう。
そこで本記事では、エアコンの専用配線や工事について解説します。
エアコンの取り付けを行う際に、参考にしてください。
エアコン取付工事に必要な確認事項
エアコン取付工事を行う際は、以下のポイントを確認しておきましょう。
- エアコンの設置スペース
- 電気容量
- エアコン専用コンセント
- 配管穴
上記は、大まかな確認ポイントになります。
さらに、具体的に絞っていくと「専用回路」や「連絡線」なども確認しておかなければいけません。
以下で、エアコン取付工事で必要な4つのポイントについて解説していきます。
専用回路
専用回路とは、ブレーカーから直接引かれているコンセントです。
主にエアコンの取付付近にあり、他のコンセントや電気器具とは共有ではない配線になっています。
ここで理解しておきたいのが、専用回路の数です。
専用回路はエアコン1台につき1口用のコンセントが必要になります。
分電盤内のブレーカーの空き状況によっては分電盤ごとの交換になるので、自宅の専用回路がいくつあるのか、必ず確認しておきましょう。
電圧
エアコンの電圧は、3種類です。
一般家庭などで採用されているのは「単相」と呼ばれており、100Vと200Vに分かれます。
オフィスなどで採用されているのは、「三相」と呼ばれるものです。
それぞれの特徴を、以下の表にまとめました。
電圧 | 電源 | 安全性 | 場所 | 主なエアコン |
100V | 単相 | 高い | 一般住宅 | 14畳未満の家庭用エアコン |
200V | 単相 | 高い | 一般住宅・小規模オフィス | 14畳以上の家庭用エアコン3馬力以下の業務用エアコン |
200V | 三相 | 普通 | 中規模以上のオフィス・工場など | 業務用エアコン |
上記のように、使用するエアコンによって電圧が異なるので、必ずエアコンに合った電圧かどうかを確認しておきましょう。
電源プラグ
エアコンを作動させる上で必ず確認しておくべきなのは、電源プラグです。
まれに、エアコンの電源プラグと壁コンセントの形状が合っていないケースがあります。
もし形状が合っていない場合には、コンセントの交換が必要です。
主な電源プラグの形状は、以下の4つ。
- 平行形
- IL形
- タンデム形
- エルバー形
エアコン自体の取付ができても、プラグとコンセントが合わなければ意味がないので、必ず事前に確認してください。
連絡線
連絡線とは、運転モードの切り替えや風量の強弱変更など、室内外機の信号のやり取りをしているしている電線です。
VVFケーブルや「信号線」「渡り配線」「制御線」とも呼ばれます。
この連絡線と機器との互換性がない場合、工事が難航する可能性があるので注意しなければいけません。
とくに、多いのが、エアコンの連絡線が3芯、2.0mm、設置場所の既存の連絡線が3芯、1.6mmというケースです。
このケースでは、量販店のほとんどが工事を行ってくれないと考えて良いです。
ただし、知識と技術のある業者に依頼すれば、連絡線の互換性がなくても取付できます。
エアコン取付標準工事工程
エアコン取付の基本的な工事工程について解説します。
当然ではありますが、エアコンは室内機を付けるだけではありません。
室外機を設置したり、配管や配線を接続する工程があります。
一つひとつ、ポイントと合わせて解説していきます。
室外機設置
エアコンを取り付けるには、室外機を設置しなければいけません。
室外機は、冷房時には室内の熱を冷媒を使って屋外へ熱を放出し、暖房時には室内に熱を送り込む役割を担っています。
つまり、室外機がなければ、エアコンは機能しません。
また、注意したいのが室外機の設置位置です。
エアコンを効率的に使うには、室外機の四方のスペースをある程度とっておかなければいけません。
四方を塞いでしまうと、冷暖房の効率を下げたり故障の原因になったりします。
横や後ろは壁から5cm以上、前面は25cm以上のスペースが目安です。
配管の穴あけ
エアコンを設置する際には、配管を通す穴が必要です。
壁に穴をあけなければいけないため、マンションなどの集合住宅に住んでいる場合は、必ず管理組合の許可が必要になります。
配管の穴あけ工事の費用の目安費用は、以下のとおりです。
- モルタル壁・ALC壁…0円~
- ブロック塀・タイル壁…6,000円前後
- コンクリート壁…15万円前後
また、窓にアルミパネルを設置して、配管を通すケースもあります。
窓に配管を通す場合の目安費用は、以下のとおりです。
- 標準窓…6,000円前後
- テラス窓…7,000円前後
ただし、住宅によってはすでにエアコン用配管が埋め込まれている場合があるので、エアコン取り付け前に穴があるかどうか確認しておきましょう。
配管の接続
配管の穴あけができたら、次は配管の接続を行います。
配管の接続は、フレア加工という方法が一般的です。
フレア加工はフレア工具を用いて銅管をラッパ状に加工する作業で、比較的スムーズに接続が進みます。
主な流れは、以下のとおりです。
- フレア加工で銅管の先を広げる
- 室内機や室外機側の接続部に合わせる
- フレアナットで締めて接続
単純なステップではあるものの、フレア加工に問題があるとガス漏れが発生し、エアコンの効きが悪くなってしまうので、丁寧な作業が求められます。
室内機の配線接続
配管の接続ができたら、室内機に配線を接続する作業です。
配線接続に関しては専門的な作業になるため、具体的なステップで解説します。
- 室内機の端子台カバーのビスを外す
- 配線を固定するパーツを取り外す
- アースの端子台のネジを外す
- 室内機の裏側にある配線穴に配線とアース線を挿入
- アース線を端子台に接続
室内機に記載されている長さの被覆を向く
被覆を向いた後に芯線を輪っかにする
割っかにした状態で端子台へ接続
- 配線を接続
室内機に記載されている長さの被覆を向く
以上で配線の接続は完了です。
個人でも接続は可能ですが、不安な場合は業者に依頼しましょう。
室内機の設置
配線接続まで完了したら、室内機を取付ます。
室外機と同様に、室内機にも設置の注意点があるので、確認しながら作業を進めましょう。
基本的なルールとしては、室内機上端から天井までに、最低5cm以上の余裕が必要です。
余裕がないと、室内機を壁掛け金具にかける作業ができなかったり、上面の給気部をふさいでしまったりします。
機種によっては10cm以上の余裕が必要な場合もあるので、事前に確認してください。
また、室内機の左右も5cm以上のスペースを確保します。(10cm以上必要な機種もあります)
左右に余裕がないと、室内機に対して配管穴の位置が高くなったり、排水が逆流してしまったりする可能性があります。
真空引き作業
室内機を設置したら、真空引き作業を行います。
真空引き作業とは、室内機や室外機内部に残った空気を水だし、配管内を真空状態にする作業です。
真空引き作業を行わないと、内部に残った水分やゴミが原因で故障に繋がる恐れがあります。
基本的に真空引き作業は取付業者の標準工事の料金に含まれていますが、業者によっては標準工事に含んでいないケースもあるので、真空引き作業が行われているかを確認しておくと良いでしょう。
もし真空引き作業が行われていない場合は、個人で行うのではなく、別の業者に依頼してください。
DIYでも真空引き作業をできないことはありませんが、作業に必要な専門器具を揃えるだけでも費用がかかってしまいます。
作業自体も難しいので、業者に依頼して行ってもらいましょう。
専用回路接続
真空引き作業が終われば、後は専用回路を接続するだけです。
専用回路の位置は、基本的にエアコンの近くにあります。
- マンションの場合…エアコンの配管用の穴付近、又はエアコン設置場所の壁付近のコンセントなど
- 一戸建の場合…天井部のコンセントなど
ここで理解しておかなければいけないのは、エアコンは専用回路でなければいけないという点です。
専用回路以外のコンセントでエアコンを稼働させてはいけません。
エアコンは他の電気器具よりも使用電力が大きいため、複数のコンセントが使用されている標準回路では、電力が足りなくなります。
その結果、ブレーカーが落ちたり、火災事故に繋がってしまう可能性があります。
基本的には、どのメーカーの「据付工事説明書」にも「必ず専用回路を使用し、取り付け工事を行ってください。電源回路容量不足の場合、感電や火災の原因になります」という注意喚起が記載されているので、説明書に則った接続を行いましょう。
エアコン取付の注意点
エアコン取付時の注意点について3つを解説します。
それぞれを注意しなければ、エアコンが稼働しない可能性があるので、必ず確認しておきましょう。
連絡線
連絡線については先述したように、互換性がないと工事を断られる可能性があります。
しかし、互換性があっても工事は可能です。
既存の連絡線と設置機器の互換性がない場合は、以下の方法で工事を行えます。
- 2.0mmの連絡線を引き直す
- 1.6mmでも接続可能な機種を選定
「不具合がない」「3芯線以上」「正しい接続」の条件を守っていれば、1.6mmの連絡線でも再接続が可能です。
ただし、連絡線の再利用の条件はメーカーによって異なります。
メーカー | 再利用条件 |
DAIKINKIN | ・室内電源機で運転電流(最大)が19Aを超える製品:3芯VVFΦ2.0㎜ ・その他の製品:3芯VVFΦ2.0㎜ または Φ1.6㎜ |
Panasonic | ・最大電流値15A以下・電線の長さが10m以下・三相モデルではない・3芯Φ2.0㎜とΦ1.6㎜を組み合わせて使用しない |
MITSUBISHI ELECTRIC | 【室内受電の場合】 ・最大電流15A以下の機種・内外接続電線長10m以下【室外受電の場合】 ・3芯Φ2.0㎜とΦ1.6㎜を組み合わせて使用しない |
三菱重工 | 3芯Φ1.6㎜は再利用不可。 |
HITACHI | ・壁掛け形2.2kW(6畳)以下の機種・ケーブルの長さは10m以下・より線を使用しない |
TOSHIBA | 3芯Φ1.6㎜は再利用不可。 |
FUJITSU | ・最大電流が15A以下の機種・電線の長さが10m以内 |
SHARP | ・配線の長さ10mを超える場合:3芯Φ2.0㎜・配線の長さ10m以下の場合:3芯Φ2.0㎜ または Φ1.6㎜ |
メーカー
メーカーについては、配管の長さや高低差を確認しておく必要があります。
各種メーカーによって、エアコン1台につき使用できる配管の長さや高低差が決められているからです。
例として、2社のエアコンの配管の長さや高低差を確認してみましょう。
【三菱重工】
エアコン | 配管長 | 高低差 室外機下方 | 高低差 室外機上方 |
ルームエアコン SRK22RY・SRK22TY など | 20m | 10m | 10m |
ハウジングエアコン SRT22X2・SRTW40X2 など | 30m | 20m | 20m |
マルチエアコン SCM46X2 など | 1室あたり/20m 2室合計/30m | 15m | 10m |
(参考元:三菱重工)
【SHARP】
型番 | 配管長 | 高低差 |
AC-224FD ー AU-224FDY | 15m (10m を越える場合は 1m 当たり 20g の冷媒を補充 ) | 10m |
AC-254FD ー AU-254FDY | 15m (10m を越える場合は 1m 当たり 20g の冷媒を補充 ) | 10m |
(参考元:SHARP)
上記のように、メーカーだけではなく型番やエアコンの種類によっても異なるので、必ず確認しておくべき項目です。
コンセント
先述したように、エアコンの電源プラグと壁コンセントの形状は異なる場合があります。
しかし、形状が異なる場合でも、コンセントの形状交換をしてもらえばすぐに利用可能です。
ただし、コンセントの電圧とコンセントの電圧が同じでなければいけません。
電圧が合わない場合は、形状だけではなく回路からコンセントを交換する工事が必要です。
電圧の切り替えは、電気工事の資格を所有している人でなければできないので、専門の業者に依頼してください。
まとめ
エアコンの取付作業に関わる専門的な配線や工事について解説しましたが、いずれも素人では取付は難しいでしょう。
そのため、エアコンの取付は業者へ依頼する人がほとんどです。
しかし、エアコンの取付を適切に行える業者は少ない現状があります。
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