回路やコンセント増設工事など、電気業界の話題というのは一般の方にはあまりなじみ深い分野ではありません。
ここでは、専門用語を含めた説明を交えつつ、電気業界における専用回路と標準回路の違い、エアコンコンセントの種類、コンセント増設に必要な資格、コンセント増設工事の種類、そしてエアコン取り付け工事について詳しく解説します。
送り配線とは?
送り配線とは、建物内に電気を供給するために使われる配線の一つです。
一般的に、送り配線は建物のメインの電源から分電盤までの配線を指します。
分電盤から各部屋のコンセントや照明などへの配線は「内部配線」と呼ばれます。
送り配線は、建物全体の電気回路をつなぐ重要な役割を果たしています。
送り配線が正常に機能しない場合、電気製品の稼働不良や停電などが発生する可能性があります。
建物の建設時に施工配置されるため、一度設置された後は交換や修理が難しく、しっかりとした準備設計が求められます。
送り配線の種類には、電力会社からの供給が一次側から始まる「一次送り」と、分電盤から各部屋に配線される「二次送り」があります。
一次送りは、一次側の遮断器から配電盤に至るまで、電力会社が管理する範囲です。
二次送りは、分電盤から各部屋のコンセントや照明に至るまでの配線を指します。
送り配線は、建物内の配電盤や電気機器の容量、使用目的によって太さや材質などが異なります。
専用回路と標準回路の違いとは?
専用回路と標準回路は、どちらも電気製品を使用するために必要な回路の種類になります。
専用回路は「特定の電気製品に必要な回路」で、その製品のみに電力を供給する回路のことを指します。
一方、標準回路は「一般的な電気製品に必要な回路」となり、電力を複数の製品に供給できる回路です。
専用回路は、大型の電気製品に用いられることが多い回路で、エアコンや電気ストーブ、電気温水器など「大量の電力を使用する」機器の電力供給を得意とする回路になります。
通常、主幹ブレーカーから別のブレーカーに配線され、それぞれの専用回路が電力を供給するようになっています。
一方、標準回路は「家庭で使用される一般的な電気製品」に必要なものです。
たとえば、テレビや電気扇風機、照明などが挙げられます。
これらは、比較的少量の電力しか使用しないため、標準回路で運用されています。
標準回路は、ブレーカーボックス内の回路ブレーカーに配線されることが多く、複数のコンセントに電力を供給しています。
この2つは「電気の使用量」によって使い分けられており、適切な回路を選択することで、家庭での電力使用が安全かつ効率的になるようにと使われています。
エアコンコンセントの種類
エアコンコンセントには、100Vと200Vの2種類があります。
100Vのエアコンコンセントは、一般的な家庭用のエアコンに使用され、200Vのエアコンコンセントは、大型の業務用エアコンに使用されます。
200Vのエアコンコンセントを使用する場合は、事前に電気工事が必要です。
100V
100Vのエアコンコンセントは、主に家庭用の小型エアコンに使用されます。
一般的に、100Vのエアコンは1台あたりの電力が低く、1.5kW以下であるため、100Vのコンセントを使用します。
100Vのコンセントは、普通の電気コンセントと同じ形状をしています。
そのため、一般の家庭であれば専用のコンセント工事は必要ありません。
ただし、エアコンの設置場所が遠く、配線が長くなる場合は、送り配線が必要となります。
200V
200Vのエアコンコンセントは、大型の業務用エアコンや家庭用の大型エアコンに使用されます。
一般的に、200Vのエアコンは1台あたりの電力が高く、2.0kW以上であるため、200Vのコンセントを使用します。
200Vのコンセントは、一般的な家庭には備え付けられていないため、専用のコンセント工事が必要です。
また、200Vのコンセントは形状が異なるため、普通の電気コンセントとは接続ができません。
そのため、エアコン設置前に、専門の業者による工事が必要です。
コンセント増設に必要な資格
コンセント増設工事は「電気工事士」が行うのが一般的です。
電気工事士とは、電気工事に関する知識や技術を有する者で、国家資格として認定されています。
コンセント増設工事は、一見すると単純な作業のように見えるかもしれませんが、電気の知識がなければ安全な工事ができません。
また、法律的にも電気工事士が行わなければならない場合があります。
電気工事を行う際は、必ず適切な資格を持った電気工事士に依頼するようにしましょう。
電気工事士
電気工事士は、一定の技能を有する人に与えられる国家資格です。
- 電気設備の施工
- 保守
- 点検
- 修理など
電気工事全般に携わる人を指します。
例えば、一般家庭やオフィスビル、商業施設や公共施設など、あらゆる建物において電気設備に関わる「業務」に従事するために必要な資格です。
電気工事士は、安全かつ適切な電気工事を行うために、法律や技術の知識を身につけることで、法令遵守と安全を第一に作業行動できる人材になります。
ある一定のレベルまでの電気工事であれば必要な資格ではありませんが、業務として従事する場合や、資格保有者でなければ作業を行ってはいけないとされる場面があるため、安全な電気工事を行うにはとても重要な資格になります。
コンセント増設工事の種類
コンセントの増設工事には、いくつかの種類が存在します。
- 数を増やす工事
- 差込口交換工事
- 配線変更工事
- 電圧交換工事
それぞれの工事について、必要な手順や注意点を紹介します。
数を増やす
「数を増やす工事」は、既存のコンセントの数が不足している場合に、新たにコンセントを設置して数を増やす工事です。
例えば、家庭のリフォームやオフィスの改装などで、電気製品の利用台数が増えたために、コンセントの数が不足してしまった場合に行われます。
数を増やす工事の手順は以下のようになります。
- まず、増設するコンセントの位置を決めます。
配線ルートや使用頻度などを考慮し、最適な位置を決めましょう。
- 次に、電気工事士が配線を行います。
電源のスイッチを切り、既存のコンセントから電線を引き出し、新たなコンセントに接続します。
配線には、適切なサイズの電線や、配線を通すためのパイプなどが必要です。
- 配線が完了したら、新しいコンセントを設置します。
コンセントの形状や規格に合わせて、ボックスやプレートなどの部品を取り付け、コンセントを差し込める状態にします。
- 最後に、動作確認を行います。電源を入れ、正しく動作するか確認します。
また、コンセントの接続部分がしっかりと固定されているか、接地が正しく行われているかなども確認する必要があります。
以上が、数を増やす工事の手順です。
ただし、電気工事は危険を伴う作業であるため、必ず専門の電気工事士に依頼することを強くおすすめします。
その理由は、電気工事には法律や規格が定められており、これらに適合するように行わなければならないからです。
差込口交換
差込口交換工事とは「既存のコンセントの差込口を交換することにより、異なる形状のプラグに対応」できるようにする工事です。
例えば、新しい電気製品を購入したが、既存のコンセントにはプラグが合わない場合に行われます。
プラグが合わない一番メジャーな理由が「海外の製品を買ってしまった」というものです。
日本では2芯コードを使うため縦2本のAタイププラグが主流ですが、電圧の規格が異なる国では同じ2芯でもBタイプやCタイプ。SEタイプというものも存在します。
また、3芯コードを基本としている国もあり、B3タイプ・BEタイプ・Oタイプ・O2タイプという具合で、電源プラグ自体の規格が世界で統一されていないのです。
日本国内でも、100V電源と200V電源ではプラグ形状が異なり、アース用の芯線がAタイプの下側から生えているものもあります。
大電流を必要とする工場では、OタイプやO2タイプを専用電源として設置している場合もあるのです。
差込口交換工事の手順は以下のようになります。
- まず、差込口を交換する位置を決めます。
プラグの形状や使用頻度などを考慮し、最適な位置を決めましょう。
- 次に、電気工事士が差込口の交換作業を行います。
既存のコンセントを取り外し、新しい差込口に交換します。
交換する差込口は、使用する電気製品のプラグ形状に合わせたものを選びます。
差込口交換作業は比較的簡単に行えますが、コンセントの差込口の形状によっては、切り欠きや接点の位置を合わせる必要がある場合があります。
- 最後に、動作確認を行います。
電源を入れ、正しく動作するか確認し、差込口の接続部分がしっかりと固定されているか、接地が正しく行われているかなども確認する必要があります。
以上が、差込口交換工事の手順です。
配線変更
コンセント増設工事の中でも、配線変更はよく行われる方法の1つです。
配線変更とは、既存のコンセントから電源を取り、新しくコンセントを増設する場合に配線を変更して新しいコンセントに電源を供給する方法です。
新しいコンセントを設置する場所が近くにある場合や、配線が簡単な場合には比較的難しい作業ではありません。
ただし、正しく配線しないと「漏電」したり「火災」の原因となるため、資格や経験のある専門家による工事が望ましいです。
配線変更を行う場合には、まず既存のコンセントから電源を取り外し、新しいコンセントに接続するための電線を引き出します。
その後、新しいコンセントの位置に合わせて、電線を加工し、配線を行い、電線の太さや色、接続の仕方などについて、電気工事の規定に従って正しく行うのです。
配線変更を行う場合には、電源の供給元や電線の長さ、配線のルートなどによって、工事の難易度や費用が異なるため、事前に見積もりを取ることをおすすめします。
電圧交換
コンセントの電圧交換とは、100Vから200Vや200Vから100Vなど、異なる電圧のコンセントに交換することを指します。
たとえば、電気ストーブを使用するには200Vのコンセントが必要ですが、設置場所には100Vのコンセントしかないという状況の場合、電圧交換を行うことで200Vの電気ストーブを使用できるようにする工事です。
電圧交換を行う際には、コンセントの配線が正しく接続されているかを確認が必要で、電圧の変換にはトランスなどの変圧器を使用する場合もあります。
配線や電気に多少の知識があれば対応できないものではありませんが、電圧交換は素人による自己流の改修は非常に危険です。
必ず電気工事士や、電気設備士の資格を持つ専門家に依頼しましょう。
間違った作業は火災や感電などの危険を引き起こす可能性がありますので、絶対にDIYで行わないでください。
エアコン取り付け工事は資格いらず
エアコン取り付け工事は、一般的には専門的な知識と技能が必要とされる電気工事に分類されます。
しかし、現時点ではエアコン取り付け工事に必要な特別な資格は法律によって定められていません。
つまり、エアコン取り付け工事を行うためには、専門の技能を持っていなくても自由に行うことができるということです。
しかし、エアコン取り付け工事には「電源と配線」「ガスの取り扱い」「漏電対策」など多くの専門知識と技能が必要であり、素人によるDIYは非常に危険です。
誤った配線や不適切な設置場所などが原因で、火災や感電などの事故が発生することがあるのです。
そのため、エアコン取り付け工事を行う場合は、購入した量販店で設置工事を依頼し、専門家による確実な作業をしてもらうのが一般的です。
エアコン取り付け工事を行う専門家は、電気工事士や空調設備士の資格を持っている場合がほとんどです。
彼らは、適切な配線の接続方法、適切な設置場所、必要な冷媒の量など、エアコン取り付け工事に必要な専門知識と技能を持っています。
また、専門家に依頼することで、保証期間内にエアコンに問題が発生した場合には、修理や交換などのサポートにも対応してもらえるので、保証という面からも専門家に作業してもらうのがおすすめです。
まとめ
エアコンかれっじでは、エアコン取り付けを学べる2日の講習を行っています。
解説してきたように、配線関係に関しては電気工事士の資格が必要ですが、取り付けのみであれば資格は必要ありません。
そのため、エアコン取り付けのスキルを学んでおけば、個人事業としても活躍できるのです。
エアコンの取り付けは需要が高い業種なので、働き方によっては月収100万円も目指せます。
無料体験会も行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。
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